磁器は、焼き上がりで釉薬がかかった状態で4ミリもあると厚く感じると思います。
飯碗や湯呑などですと、素焼きの状態で3ミリ以内を目指すとどうでしょうか。
粘土がもっとやわらいかいともう少し上手くいったのかもしれないですね。
信楽などの陶器の粘土との相違点は、
焼き上がりで水を吸わない。それだけ焼き締まりますので、収縮もします。
およそ15%は縮みます。
逆に、収縮しない粘土は焼き上がりで水を吸ってしまいます。
素焼きの温度は、陶器の粘土の場合、多くは800℃程度かと思いますが、
磁器の粘土は900℃がおすすめです。
800℃でも本焼き後の色合いなどに影響はありませんが、
施釉時の取り扱いに注意が必要です。800℃では非常にもろいです。
また、産地ごとに粘土の性質が違いますので、釉薬も異なってきます。
合う釉薬と合わない釉薬がありますので、事前に確認が必要かもしれません。
釉薬に関しては、熱膨張係数の大きいものをお選びいただくようにしてください。
穴窯用と、一括りにはしづらいのですが、
どのような焼き上がりをお求めになっているかにもよるかと思います。
近所の穴窯をお持ちのお客様は、撰中を、
また、熊本のお客様も撰中をお使いになっています。
お二人とも磁器を作るときのみ当社の粘土をお使いになります。
一度、お試しいただくことで相性がわかると思います。
織部釉についてですが、釉薬製造元に問い合わせてみたところ、
残念ながら1300℃は厳しいようです。
公称1230~1250℃とのことです。
ただ、この近辺では1230℃というのはあまりないので 、
おそらく1250℃に近い、もしかすると超えているところもあると 推測します。 (私の勝手な推測ですが。 )
タレるなどという指摘などは無いそうなので、1250℃を少し超えるくらいまでは
大丈夫そうな気がします。
1300℃を目指すなら、何かを添加をしてタレないように調節する必要があるでしょう 。このあたりのお手伝いはできるかと思いま すので、必要な際は仰ってください。
■質問「1250度まで11時間、1100度まで2時間、900度まで2時間30分で電気窯焼成したところすべてひび割れました。 自分なりに考える対策は 鋳込み痔「生地を厚くすること」しか浮かびませんが、ほかに水ガラス の量なども関係しますか。泥しょう作りが、本焼きに影響しますか。ご教示よろしく願います。
■回答
今までと同じ製作条件で今回のぐい呑みが割れたと仮定しての私の見解です。
まず、泥漿の作り方が本焼きでの割れを直接引き起こすということは非常に稀です。
泥漿状態に左右されるのは、脱型できるかどうか、型内で割れてしまうか、
歪みがどうか、収縮がどれだけになるか、などです。
珪酸ソーダなどが入れすぎなら本焼きでの黒味を心配しますが、
脱型後の生素地に割れが無ければ、大丈夫 です。
今回の症状は、釉薬と素地の相性ではないかと推測しています。
釉薬と素地の熱膨張係数の違いが原因ではないかと考えますので、
釉薬をかけずに本焼きは可能ですか?
もし、これで割れなければこの推測があたっているかと思います。
割れてしまうようであれば、生素地あるいは素焼きの段階で亀裂が生じているのかもしれません。
この場合は、生素地・素焼きに灯油を少量、筆で塗って割れの有無を確認できます。
釉薬をかけない本焼きが割れなければ、素地との相性ということになりますので、
この場合は、温度を上げる、もしくは保持時間を長くすることで解消の方向へ向かいます。
1250を1260とか、1250℃で今より長くキープするとかです。
釉薬のタレを心配しなくてよい状況なら、この方法だと思います。
もし今回のひび割れが“貫入”であれば、逆効果になってしまいますが。
釉薬の性質から温度を上げるのが難しければ、
粘土の方を変えて対応していくことになります。
この場合、焼き上がりの色合いを考慮しなければなりませんが、
そもそも割れる割れないの瀬戸際に今回はあるの ではないかと思っていますので、
お買い上げいただいた撰上に、撰中を1:1となるように加えてみるとどうかと思います。
焼き上がりの色を重視するなら、285を使います。
そうすることで、焼成後の素地の熱膨張係数を小さくすることができます。
ヒーターの能力的には炉内の温度が想定どおりにはいってないかもしれないですね。
次からはゼーゲルコーンやリファサーモなどを入れて
確認するとわかりやすいと思います。
■お客様から返答——————————————————————————
ご指摘の通りテスト窯の最高温度が上がらないことがわかりました。
常温時最高温度1240度と記載がありました。
マイコン画面は1260度~1300度の操作ができるため、昇温したものと誤認していました。
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手び練でも 鋳込みでもいいのですが 磁器土で 透けるランプを作りたいと思っております。
■回答
鋳込み用の泥漿、ございます。
ご注文をいただいてから、その都度作製してお出ししております。
排泥鋳込みで粘土から泥漿を作る場合、
水分30%で、珪酸ソーダ(水ガラス)0.2~0.3%をおすすめしております。
これですと
粘土 1キロに、水 140cc
珪酸ソーダ 2グラム前後
となります。
ご連絡いただいた、乾燥品から作る場合とほとんど同じで、珪酸ソーダ(水ガラス)が少ないくらいでしょう。
SAは、特上・撰上より珪酸ソーダが多めに必要になります。
ただし、当社では乾燥粘土で鋳込み泥漿を作るのはおすすめしていません。
サラサラの泥漿になりづらく、珪酸ソーダもたくさん使わざるを得ないのと、
時間が経つとドロッと硬い泥漿に戻りやすくもあるからです。
透け具合は、先日お送りしたサンプルがそちらの焼成条件でどの程度か、ですかね。
手びねりですと、やはり撰上か特上をおすすめしますが、1300℃に近い温度で
なければ透けは期待できないと思います。
鋳込み成形ですと、他の粘土もございますし、いくつかの粘土を混ぜ合わせて
そちらの焼成条件でご希望に近い焼き上がりを探っていくことができると思います。
少量でのテストピースの作製などお手伝いできることもあるかと思いますので
必要な際は仰ってください。
■質問
普段は土もの制作が多いので、焼成温度をどうしたものかなーと思いつつ、素焼き本焼きとも土も のと一緒に焼成しました。釉がけ時(釉がけ中と釉がけしたのを持ち上げたときに)にいくつか破 損してしまったのですが、これは湯がけの方法的(どぼんとつける方法です)な問題なのか、素焼 きの焼成温度が低すぎたのかどちらなのでしょう??? あと、てびねりでウツワ(ゴブレットとかお茶碗くらいのサイズ。玉作りでちょっと固めながらの ばして作る感じです。)つくったものに全部ではないのですが焼き上がったときに表面的な切れっぽ いもの(内側までは切れていないっぽい)ができてしまうのはなぜなのでしょう?
■回答
まず素焼きについてですが、その破損は素焼きの温度に起因します。
誠に申し訳ございませんが、800℃程度の素焼き温度では脆いです。
天草陶石を使った有田の伝統的な粘土で、十分な素焼き強度を得るには900℃程度で焼く必要がありま。
800℃の素焼きの場合は、取扱いに気をつけてください。す
手びねりでの表面の切れについてですが、
これはお作りになられたときの粘土の硬さが原因ではと思います。
もう少しやわらかめの粘土で作るときれいに伸びて亀裂は減ると考えます。
この点については、やはり土ものにかなわないと感じるのが実情ですが、
実際にご注文いただく際には、粘土の硬さも個別に調節できますのでご相談ください。
また、土ものとまではいかないまでも手びねりなど初心者の方にも使いやすいようにと、
新しい粘土も作りはじめました。
撰上や撰中より若干白さが劣りますが、今後のご検討の対象になるかと思います。
■質問
素焼きの彩色人形作成 を主とするものなのですが、よりよい粘土はないかと今回、御社サンプルをお願いしたところです。 造形の段階では特上・撰中がヘラが効き、粘りもあって扱いよいと感じました。さらに素焼きを、 御社のアドバイスに従い900度で行ってみたところ、特上はまだ脆さが残る感じでした。また、 特上・撰中ともペーパーがよくかかり、特上に至っては、指の腹でさえ生地目をそろえられるくら いでした。これはありがたいことではありますが、あまりにゆるいと購入者の手元でもスレが出な いか心配になります。そこで、もう一度、窯で焼いてみようと思うのですが、本焼き1250度と いうような高温では造形のゆがみが心配になります。本焼きよりやや低温で、スレが収まるような 温度を探したいのですが、もしご経験があればお教えください。
■回答
素焼き温度の件、なるほど仰るとおりですね。
900℃では、耐摩耗性という点でまだまだだと思います。
同じ状況であれば、私も同じように1000℃を超えるところを狙ってみると思います。
まずは、1050℃で焼いてみていただいて、ご希望の感触になるかどうかで
次の焼成温度をご検討いただければと思います。
ちなみに、1250℃は硬くなりすぎてペーパー作業などは出来ないです。
特上と比べると、C50とWSは作りづらいかもと思います。
状況がわかりませんので、割れた原因を推測することはできませんが
取っ手の方は、おそらく接着するタイミングだと思います。
お困りのことがあれば、遠慮なくお尋ねください。