鋳込み成形で石膏型からはずれにくいときは?

鋳込み成形で石膏型からはずれにくいときは?

こんにちは、渕野です。

鋳込み成形で泥漿を石膏型に流し込んだあと、
脱型まで時間を置いてもなかなかはずれない場合の対処法とは!

石膏型からはずれにくい原因は主に次の3つです。

1. 珪酸ソーダなどの解膠剤が多すぎる
2. 石膏型が濡れすぎている
3. 出来あがったばかりの石膏型を使った

順に対処法を説明していきます。

1. 珪酸ソーダなどの解膠剤が多すぎる場合

珪酸ソーダなどをたくさん入れすぎてしまう原因は、泥漿の粘性を小さく、なるべくサラサラにしたいのに、なかなかそうならないからです。
サラサラになりやすい磁器土、そうでない磁器土があり、磁器土の種類によって珪酸ソーダの使用量は異なります。
泥漿がなかなかサラサラにならないときは、珪酸ソーダだけを足していくのではなく、水も一緒に増やしていってください。前回の記事「磁器土での鋳込み泥漿の作り方は?」の後半が参考になります。珪酸ソーダと水の両方を段階的に増やしていくことで、サラサラの泥漿でありつつ、石膏型からはきちんとはずれる泥漿が出来るようになります。
ただし、このようにして調整した泥漿の場合、加えた水が多いほど石膏型からはずれるまでの時間はかかってしまいます。
もしどうしても時間優先で早く石膏型からはずしたい場合、マグカップのハンドルのような中身が詰まった形状のものであれば、意図的に泥漿の粘性を大きくし、ドロ~っとした泥漿で鋳込むと早くはずせます。※花瓶や急須などのようなきれいに排泥したい形状のものにこの方法は適しません。
石膏型からきちんとはずれる泥漿でも、泥漿の粘性が小さいとはずれるまでに時間がかかり、泥漿の粘性が大きいと早くはずれます。泥漿がサラサラであるほど、はずれるまでに時間がかかります。
泥漿の状態で、はずれるまでの時間の違いはありますが、きちんと調整された泥漿であれば、きちんと石膏型からはずれます。
珪酸ソーダなどの解膠剤の入れすぎには注意しましょう。
もし珪酸ソーダを入れすぎた場合は、入れすぎてしまった泥漿に磁器土と水を加えて再調整をします。珪酸ソーダは加えずに調整し直すことになります。

2. 石膏型が濡れすぎている場合

石膏型は同じものを繰り返し続けて使用することで吸水力が低下していきます。
1回目より3回目がはずれるまでに時間がかかりますし、3回目より10回目がさらにはずれるまでの時間がかかります。
1日使った石膏型はしっかり乾燥させてから次に使用する。もしくは、複数の石膏型を準備して、使用回数を少なくし一つの石膏型の吸水量を小さくすることで、短い乾燥時間でも乾いた状態に近づきます。
水をたっぷり吸収した石膏型でははずれません。濡れた石膏型は乾かしましょう。

3. 出来上がったばかりの石膏型の場合

出来上がったばかりの石膏型にはカリ石鹸が残っている場合があります。
石膏型の製作段階で離型剤として使用するカリ石鹸は、鋳込んだときの型離れを阻害します。
出来上がったばかりの石膏型の場合、本番前に何度か鋳込むことでカリ石鹸を取り除くことが出来ます。あるいは、中和剤や酢酸水溶液で石膏型の泥漿が注がれる場所を拭くことでカリ石鹸を取り除きます。
また、2番の項目と同様に出来上がったばかりで乾燥前の石膏型は多くの水分を含んでいます。使用前にはしっかり乾かしましょう。

鋳込み成形で石膏型からはずれにくいときは

いかがでしたか?
もし、同じような悩みを持っている陶芸家の方は1~3番を参考にお試しください。
こんなことに時間を掛けて悩まず、作品作りに時間を掛けたいものですね。